NWOBHM | ja

NWOBHM(ニュー・ウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル、New Wave Of British Heavy Metal)は、
1970年代後半のイギリスで勃発した音楽ムーブメント。

"N.W.O.B.H.M."と表記されることもある。

その年代にデビューし活動したバンドに対しNWOBHMのカテゴライズをすることはあるが、
メロディやサウンドを指すものでは無い。

1979年夏、イギリスでDJニール・ケイ主催のヘヴィ・メタル・ディスコ
「Bandwagon」で商業的に無名なバンドによるライブイベント「Heavy Metal Nite」が開かれた。

ローカル・バンドの自主製作盤の紹介も行っていた雑誌「Sounds」誌には、
「Bandwagon」で紹介されたバンドのBest10を発表するコラムがあり、
そこで注目されたアイアン・メイデン、サムソン、エンジェル・ウィッチによりツアーが行われたことが、
ハード・ロック/ヘヴィ・メタル(以降 HR/HM と表記)バンドが次々と登場する発端だった。

由来は「Sounds」誌で、ジェフ・バートンの書いた記事による。
1970年代後期のHR/HMは、
パンク以降に登場したニュー・ウェイヴを支持する人間が過去のロックを
「オールド・ウェイヴ」と呼ぶ事に対しあえて"New Wave"、
ブリティッシュ・ロック低迷からの復権を願って"British"、
ハード・ロックを継承しながらも新しい時代を切り開く意味で"Heavy Metal"を合わせて名付けられた。

パンク、ニュー・ウェイヴが過去の音楽を否定する事を始まりとするのに対し、
NWOBHMは伝統を継承するとの主張が込められている。

1979年5月にEMIからデビューアルバムを発表したサクソン、
同年8月にフォノグラムと契約したデフ・レパード、
同年12月にEMIと契約したアイアン・メイデンが代表的なバンドとして挙げられるが、
実際には1980年代前半までに乱立したインディーズ・レーベルや
自費出版による流通で発表を行った多数のバンドがNWOBHMの中核であった。
1980年代前半までに7インチ・レコードを発表したバンドだけがNWOBHMと呼ばれるとする見方もある。
なお、レインボー、ジューダス・プリースト、UFO、シン・リジィ等
NWOBHMの時代も活躍したもののこのムーブメント以前にレコードデビューしたバンドや、
ワイルド・ホーシズ、マイケル・シェンカー・グループのように
このムーブメント以前にレコードデビューし活躍してきたメンバーを含むバンドを
NWOBHMに含むかどうかは意見が分かれる。

このムーブメントの影響は、
1980年8月16日にイギリス・ドニントンで第1回のモンスターズ・オブ・ロックが開催され、
HR/HM系バンドのみのロック・フェスティバルとしてレインボー、ジューダス・プリースト、
スコーピオンズ、サクソン、エイプリル・ワイン、タッチ、ライオットが出演している。
伝統的なレディング・フェスティバルでは、パンク、ニューウェーブ系から、
HR/HM系のバンドが主な出演となり、1980年にはバッジー、ホワイトスネイクなどが、
1981年にはスコーピオンズ、UFOなどが出演している。

また、イギリス以外の国(特にアメリカや日本における)でのヘヴィメタルの隆盛につながっていく。
世界的な成功を収めたデフ・レパードは当人達が「自分たちはヘヴィメタルバンドではなく、
ハードロックバンドである。」と否定しているため、
NWOBHMから20年を越え実質的に精力的な活動をしているバンドは
アイアン・メイデンだけといってもいいであろう。 .